「slowstarter,001」ライブレポート

2018年6月30日に阿佐ヶ谷Rojiにて開催されたイベント「slowstarter,001」のライブレポートを公開します。もうイベント開催から1ヶ月以上が経ちますね。月日が経つのは本当に早いです。

レポートは、当日お越しいただいた観客お2人からお寄せいただきました。

まず、1人目は、ジュンコワタナベさん。

ライブ会場でたまに会う方で、サバサバとした語り口が面白いので、きっとレポートも気持ち良いものを書いてもらえると思い、依頼しました。

2人目は、私のバンドのリーダー、サイトウジュンヤ。

ライブ中毒と呼んでいいくらい、ライブに足繁く通う人。すごいときには、1日に2、3個のイベントをハシゴするような本気の人です。彼も普段レポートを書かないので、せっかくだからと依頼してみました。

写真と一緒にお楽しみください。

[ジュンコワタナベ]

プロフィール

レバ刺し

実家暮らし

人生初のフジロック

2018年6月30日(土)

とてもとても暑い日。

 

お友達のバンド仲間、藤森さん企画のイベント「slowstarter,001」へ行ってきました。場所は阿佐ヶ谷のRoji。最高のシチュエーション!出演者は王舟と名古屋からioueee。王舟は前からライブを観たことはあったけどioueeeは初めて。初の都内ライブとのことなのでとても楽しみにしてました。

 

Rojiで観る王舟は2回目だけど、王舟とRojiは最高の組み合わせ。いつも紺色のポロシャツの王舟、今夜は爽やかなグレーだ。爪弾くギターの静かな音色と王舟の唄声。

 

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<王舟>

 

 

BIOMANと作ったアルバムから「Fano」あの瞬間阿佐ケ谷はイタリアになった。「tatebue」だったかな、珍しく途中で演奏を忘れる王舟。暑い日だった。そんな暑い日に「Thailand」聴いたからカレーを注文した。スパイスが効いていて美味しかったな。Rojiはお酒もご飯も美味しい。聴くたびに泣いてしまう「あいがあって」は愛が溢れていた。

 

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<王舟>



 

ioueeeはお2人で登場。

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<ioueee>

 

手作りなのかな色々奏でる物たちがたくさん載ってる小さいテーブルと、杉山さんのゆるっとした唄と、カタカタトントンと足でリズムを取る木の箱。

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<自作のパーカッションについて説明をするioueee・杉山さん>

 

くるりの岸田さんのような魚座の藤井さんのようなあったかい声でした。Rojiの雰囲気にピッタリだった。好きだなあと思った曲「最後のリインカネーション」の懐かしいメロディに胸がギュっとなった。なぜかドライブに行きたくなった。初めて読む小説のページをわくわくしてドキドキしてめくるようなioueee。

 

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<ioueee>

 

 

せっかくだから王舟と何か一緒にと選んだExtremeの「More Than Words」(大好きな曲!)残念ながら王舟がこの曲を知らなかったのでioueeeでのカバーとなったけど堪らなく良かった。王舟と一緒に唄って欲しかったな。

 

 

今回このイベントを企画した藤森さんが主宰されているSad But True Records。そのレーベル名の由来になったMetallica「Sad But True」もカバー!メタル魂の叫びも聞けた素晴らしいライブでした。

 

 

[サイトウジュンヤ] 

プロフィール

バンド「THE BUFFETTMENT GROUP」リーダーa.k.a.スタジオ予約係

  

2018年6月30日、藤森純という男のスロースタートを見届けに阿佐ヶ谷Rojiへやってきた。今夜の出演は東京初ライブとなるioneee(from名古屋)と、上海出身のSSW王舟の2組。予約開始から間もなく定員に達している事からも、本イベントに対するお客さんの期待が伺えた。

 

まずは先攻の王舟の演奏からゆったりとスタート。

K.Yairiのアコースティックギターが優しく爪弾かれ、小さめな音量ながら以前よりもブライトな音色で繊細に奏でられる。

 

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<王舟>

 

 

そしてそのバッキングに彼独特の暖かみのある歌声が乗り、耳馴染みの良いメロディーによって心地よさが増していく。

比較的淡々とした演奏とは対照的にMCはワールドカップの話題など緩い雰囲気で、そのギャップもまた面白いポイントだ。

 

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<サッカーワールドカップについて話す王舟>

 

 

今夜はライブハウスではなくRojiという従来から慣れ親しんでいる場所という事もあり、いつもよりもリラックスした佇まいに感じられる。

また今年王舟&BIOMAN名義でリリースされ各地で高評価を得ているアルバム"Villa Tereze"収録の楽曲も所々で演奏され、心地よいインタールードとなっていた。

最後は名曲"Thailand"で熱のこもった演奏と歌声を聴かせ、生音に近い弾き語りながら多幸感に包まれたステージとなった。

王舟の楽曲は音楽性としては自分が普段聴き好んでいる方向性とは少し違うが、にもかかわらず不思議とスッと身体の中に入ってくるような魅力がある。

それは彼の人間としての人懐こいキャラクターや、音楽は勿論その他の分野においても幅広い見識を持っている事にも因るのかもしれない。

 

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<王舟>

 

 

約2ヶ月振りに観た彼のステージだったが、やはり王舟の音楽はいつ何時聴いても自分の心に沁みるなぁと再確認できた夜だった。



続いて後攻のioueee、杉山さん(Vo/Gu他)のソロユニットで今夜は星さん(Key/Per他)のサポート入りの2人編成。

DOIMOIのギタリストとしての杉山さんは何度か観ているが、ioueeeとしては初見のため期待の高まるなか演奏スタート。

 

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<ioueee>

 

 

まずは楽曲が思いのほかストレートなポップスで驚くが、やはりその中には杉山さんらしさとも言える大陸感が感じられる。

サウンドとしては80年代後半~90年代前半のフュージョン味を帯びた透明感のあるJ-POPのトラックを彷彿とさせ、初聴きとなる杉山さんのボーカルは声質的にくるりの岸田氏に近いものを感じた。

基本的にはストレートな楽曲とはいえポイント・ポイントで美味しいコード使い・コード進行が含まれているので、初見にもかかわらず耳に残るフレーズが多かったのが印象的だった。

また特筆すべきは杉山さんの足で演奏されていた自作の楽器(バスドラやハイハットの代用)で、基本的には宅録プロジェクトながらライブでの再現性に対する拘りやその面白いアプローチに感心した。

 

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<ioueee・杉山さんの足元。ギターのエフェクターとともに自作の足踏みパーカッションが並ぶ>

 

 

アンコールではMetallicaのヘヴィーなナンバー"Sad But True"のカバーを、独自のコード展開を加えた素晴らしいアレンジ(後半はメタル魂解放の特別バージョン!)で聴く事ができて大満足だった。

(ダブルアンコールでは杉山さんからExtremeの"More Than Words"を王舟と共演する提案があったが、王舟が曲を知らないとの事で実現せず残念…(結局杉山さんがソロで演奏))

杉山さんのメタル的バックボーンを少なからず知る者としては大いに楽しめたが、そういったフィルターを通さず純粋にioueeeを体感したお客さんの感想も気になった。

いずれにせよ、また東京近郊でライブが行われる際は、今度は音源(イベント後早速購入!)も聴きこんで是非観に行きたいと思えた初東京ライブだった。

 

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<アンコールの様子。会場は満員。>

 

 

今回出演の2組は出自やアプローチは違えど、流行りに左右されない何処かノスタルジックで心に響く歌心を追及しているアーティストだと感じた。

普段各々が活躍しているシーンは遠からずながらこれまで2人が交わる機会はなかなか無かったが、実は共演してみたら片方しか知らないお客さんにも両方楽しんでもらえるだろうという企画者の意図(推測)は少なからず成功したのではないかと思う。

今回の第一回目に続いて、今後もこのような微妙にすれ違っている素晴らしいアーティストを演者・お客さん共に繋げるようなブッキングが組まれる事を期待したい。